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未来の働き方プロジェクト

未来のとある1日の仕事

東京エレクトロン株式会社様 

半導体の製造装置を製造するグローバルリーディングカンパニーである東京エレクトロン株式会社。先進的なDX推進で大きな飛躍を遂げている同社が、2023年に実施した20年後の未来にどのような働き方が必要かを考える「未来の働き方」プロジェクト。南国ソフトとともに行った施作と現在進めている新たな取り組みについて、業務改革DX推進プロジェクト 統合技術推進室の室長・小林仙尚氏に伺いました。

お話を伺った方

東京エレクトロン株式会社
業務改革DX推進プロジェクト 統合技術推進室 室長

小林 仙尚(こばやしせんしょう)様

課題

20年後の未来の若者の文化や考え方を先取りして、企業として準備をするという取り組みにおいて、ともに議論を重ねて“妄想”をカタチにできるパートナーを探していた

試作

・20年後にどのような働き方があるのかを両社で妄想した
・妄想をもとにした仮説を「未来のとある1日の仕事」というユースケースで表現した

効果

・いまあるテクノロジーを活用して仮説を具現化することができた
・仮説を動画やメタバース環境などビジュアルで提示し未来を一足先に体験できた

20年後の未来、どういう働き方が必要なのかを考える

普段どのような業務をされているか教えてください。

PLM領域に対する業務改革およびにシステム構築を行っています。

プロジェクトの目的およびに概要を教えてください。
またプロジェクトにおいてどのような課題を感じていましたか?

未来の働き方について考えるプロジェクトを実施しました。2040年から2050年に起こる問題の一つとして、団塊の世代が一斉に定年をむかえて退職することで、労働人口が急激に減ってしまうことが挙げられています。2040年以降、生産性を落とさずにいまよりも増やしていくためには、これからどういう働き方が必要か考えなければいけません。そのために、20年後の未来の若者の文化や考え方を先取りして、企業として準備をするという取り組みを行いました。

このプロジェクトでは、IT分野に知見があって未来に目を向けられる方々と議論を重ねて進めたいと思っていました。さらに、想像――このプロジェクトで“妄想”と呼んでいたものを実際に具現化することが大きなポイントでしたので、同じイメージを共有しながら同じ目線・ベクトルで妄想したことを、カタチにできるパートナーを探していました。これまでお仕事をご一緒した南国ソフトさんとならばきっと良いものができるだろうと思い、プロジェクトへの参加をオファーしました。

アイデアを形にするためのアプローチを教えてください。各社でどのような工夫をなさいましたか?

まずは、20年後の未来を妄想しながら仮説を立てるところから始めました。たとえば、いまは会社に属して働いている方の数が多いですが、属さないで働く方が増えて逆転したらどうなるのかについて考えました。会社としては、どうやって生産性を保つのか、属さない方のスキルをどう取り込むのかといった部分が課題になります。  時間や地域、ジェンダーなどいままで働くときに制約となっていたものがなくなった場合に、どういう働き方があるのかを参加メンバーが各自で妄想をして、仮説として成り立つものをピックアップしました。それらを「未来のとある1日の仕事」というユースケースで考えていきました。 

そのために、大学生・中高生など学生さんたちがどのような生活を送っているのか、どういう文化に触れて何を勉強しているのかなど、リクルーティングを通じて得た情報を互いに共有しながら仮説を固めていきました。

全体の流れ(課題を洗い出し、グルーピング、解決策を考え、コンセプトをビジュアル化・絵コンテ作成など)

妄想した未来を具象化、メタバース環境で実際に体験

手応えを感じた瞬間などプロジェクト中にどのような“面白さ”を感じたか教えてください。

たとえば仮説のひとつで、仕事をお休みしたときに自分のスキルだけをコピーして自分以外のモノに埋め込んだ“コピーロボット”に業務をさせたらどうなるのかと妄想しました。そうなったときに、そのコピーロボット自身を管理するのが、社員の役割になるのではないだろうかと妄想がふくらんでいきました。アニメなどフィクションの世界であったものが、半分現実・半分妄想レベルの、より現実に近づいて具現化してきたところに面白さを感じました。 

そうやって妄想した未来の状況を、いまあるテクノロジーで南国ソフトさんに作っていただいたのも面白かったです。言葉で言ったり絵で描いたりするのではなくて、動画やメタバース環境などによってビジュアルを見せることができたのが良かったです。 

アバターを制作し、バーチャル空間内でミーティングを体験

今後のプロジェクト運用と新たな取り組み

今後プロジェクトをどのように運用していきたいと考えていますか?

具現化する際に使った生成系AIが、いま私たちが想定していた以上に進化が進んでいます。プロジェクトを実施した際には10年後20年後と思っていた現実世界が、数か月先というところで実現するのではないかという状況が見えています。

現在進めている生成系AIを利活用した業務改革というところに対しても、未来の働き方という取り組みで行ったことによって、より現実的に新しいテクノロジーを使った業務ということをクリアにイメージできるようになったと感じています。

妄想を具現化していく過程の中で、新しいテクノロジーを自分事として考えたことによって、日々の進化に対して遅れることなくリーディングできる立ち位置をキープすることができたのではないかと思っています。「どう使うんだろう?」ではなく「どう使い倒すのか?」という視点で、使われる側ではなく使う側としてプロアクティブに技術を取り込むことができました。新しいテクノロジーをすばやくキャッチアップして製品化するというチームとしての下地が整った実感があります。 

南国オフィス内での打ち合わせの様子

そのパートナーとして南国ソフトさんはベストでした。想いを一緒にできているので、余計な説明や詮索なしにチームとしてすばやく動くことができました。私たちは、いまある課題や新しい世界、やりたいことに対してユーザーに何を提供するのかという価値をつなぐ仕事をしています。この仕事において、自分たちでボールを持っている時間が一番もったいないので、ともに同じ意識を持ちながら即断即決できたのが大きかったです。 
いま南国ソフトさんと一緒に、ブロンズデータをシルバーデータに変換するのをAIで自動化するという新たな試みに取り組んでいます。新しい働き方を南国ソフトの皆さんと一緒に考えてベースを合わせたことが、次の仕事にも十二分に生かされていますね。 

「未来の働き方」プロジェクトだけでなく、技術的にも面白く難しいテーマを毎回頂戴できることを嬉しく思っています。いただいたテーマを現実のものにするべく、我々も挑戦を楽しんでいます。これからも想いをともにできるパートナーであれるよう支援に尽力いたします。 

会社名
東京エレクトロン株式会社
事業内容
半導体製造装置事業
設立
1963年11月
従業員数
2,114人(単独)18,236人(連結)2024年4月1日現在